あなたが心血を注いで描き上げた大切な原稿。いよいよ印刷する段階で悩みどころとなるのが「本の仕様」についてです。どんな紙で印刷し、どんな特殊加工を施せば、理想の同人誌ができあがるのでしょうか?
ここでは、同人誌印刷における紙や特殊加工について紹介します。
紙や加工を選ぶことは、同人誌の出来上がりを左右する重要な事柄です。
例えば、フルカラーイラストは紙によっても発色や色の再現度が大きく異なります。モノクロのイラストや文字の多い小説の場合、紙自体の風合いやインクのにじみ具合を気になるところ。イラスト、漫画、小説に限らず、完成度の高い本とするために、紙を選ぶことはとても大切なのです。
また、特殊加工とは主に表紙に施すことが多い加工のオプションです。例えば表紙のイラストの背景を星空にしたいと思ったときに、キラキラとしたラメ加工を施す特殊加工である「ホログラムPP加工」を選ぶことで、より小さな星が散りばめられたような印象の表紙に仕上げることができます。
ほかにもかわいらしい本を作りたいと思ったときには、「角丸加工」という本の角部分を丸くする特殊加工を施すことで、絵本のような柔らかい雰囲気の本を作ることができます。
自分は作りたいと思い描いたものをキチンと形にするために、紙や特殊加工を吟味する必要があります。出来上がりをしっかりとイメージすることができたら、次は最適な紙や特殊加工を選んでみましょう。
同人誌作成にはさまざまな用紙が使われますが、代表的なものは以下の4種類です。それぞれの特徴を把握して、自分が作る同人誌のイメージに合うものを選びましょう。
コート剤と呼ばれる顔料で表面を加工した用紙です。美しい光沢があり、手触りはツルツルとして滑らか。発色が良く色の再現性に優れているので、写真やフルカラーイラストの印刷物におすすめです。
表面にツヤ消しの加工を施した用紙です。光沢がなく、しっとりと落ち着いた質感があります。光を反射しないので細かい文字が読みやすく、小説やマンガなどの印刷物に適しています。
同人誌の本文用紙としてもっともポピュラーな化学パルプ100%の用紙です。何も加工していないので光沢はありませんが、表面のきめが細かく白色度が高いのが特徴。写真やカラーイラストの発色は他の用紙に比べて劣るものの、モノクロ印刷では白い紙とスミのコントラストが映えて文字や線画が際立ちます。
同人誌の表紙によく使われている、厚みのある用紙です。やや黄味がかった白色をしており、表面には光沢感があります。色の表現力に優れているので、写真やカラーイラストを使った表紙を美しく仕上げたい方はこちらを使うと良いでしょう。
初めての方ですと、実際に目にしてみないことにはどの紙を使うか、どの特殊加工と組み合わせるのがいいのか分からないという方もいるでしょう。まずは、おすすめの同人誌の紙と特殊加工の選び方を紹介します。
<表紙・裏表紙:アートポスト180kg+片面マットPP加工/本文用紙:マットコート110kg 特殊加工:箔押し加工>
表紙と裏表紙は、同人誌ではおなじみの「アートポスト」。美しい光沢と高い色の再現性を備えており、フルカラーイラストに最適です。厚みは、表紙として一般的な180㎏が良いでしょう。
表面は「片面マットPP加工」で光沢を抑え、高級感と耐久性をアップ。水や汚れに強く、指紋もつきにくくなります。
本文用紙にはしっとりと落ち着いた印象を与える「マットコート」がおすすめ。インクの発色が良く、光沢が少ないので、小さな文字や精細なイラストをしっかりと見せることができます。厚みはページをめくりやすい110㎏をチョイス。
紙でさらなる高級感を演出するなら、可読性を保ちつつ光沢を出せる「サテン紙」を選んでみると良いでしょう。
特殊加工は、表紙のワンポイントとして金や銀の箔を表紙に転写し、ゴージャス感を出す「箔押し加工」を選んでみてはいかがでしょうか。
<表紙・裏表紙:マットコート220kg+片面クリアPP加工/本文用紙:上質紙135kg/特殊加工:角丸加工>
表紙と裏表紙は「マットコート」。その名の通りツヤのないマットな風合いが特徴で、すっきりとした白さにフルカラーの精細な色味がよく映えます。厚みは、雑誌の表紙より存在感のある220㎏。表面は「片面クリアPP加工」で保護しつつ、光沢感をプラスしましょう。
本文用紙は「上質紙」。白色度が高く、印刷しても裏から透けて見えにくいのでイラスト集にも最適です。薄くてぺらぺらの紙では裏のページが透けて見づらくなってしまう可能性があるため、厚みはしっかりとめくれる135㎏が良いでしょう。
また、かわいらしいキャラクターやファンタジックな世界観を描くイラスト集なら、本の角(2か所または4か所)を丸くカットする「角丸加工」の特殊加工がおすすめ。本を手に取るときやページをめくるときに、優しい雰囲気を演出することができますよ。
<表紙・裏表紙:上質紙135kg/本文用紙:上質紙70kg >
時間をかけてじっくり読みこむ小説本の表紙と裏表紙は、さらさらとしたソフトな風合いで手になじむ「上質紙」で。厚みは硬すぎず持ちやすい135㎏がおすすめです。
本文用紙も同じく「上質紙」。光を反射せずに裏から透けにくいので、小さな文字の多い小説本もストレスなく読むことができます。厚みは薄くて軽い70㎏。コピー用紙のようにパラパラとめくりやすく、ページ数が多くても重くなりません。
特殊加工ではありませんが、小説本の場合にはオプションとして「帯」の印刷を付けるのがおすすめです。市販の小説のような雰囲気にすることができます。
このほかにも、同人誌に使える紙や特殊加工にはさまざまな種類があります。上記のおすすめの仕様はあくまで一例ですので、作りたい本のイメージを思い浮かべながら、自分の理想の同人誌を作るために最適な仕様を選びましょう。
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